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2012年1月20日 (金)

リーダーの孤独

現場のリーダーが知恵を絞り戦略を提示しても、最後の決断はトップが下す。
リーダーとして任せられていても、計画通りに仕事を進められるとは限らない。
人のために尽くしても、期待通りに人が育つとは断言できない。

どんなに一所懸命に頑張っても、すべてが報われるわけではない。
糠に釘を打つような徒労感を覚えながら、少しでも成長することだけを考えて、
身体の奥に潜んでいる勇気を奮い立たせ、背筋を伸ばさなければ人は動かない。

リーダーという立場は、どこから見ても間尺に合わない。
ひと昔前なら肩で風を切り歩けたが、今では過去の栄光で食いつなげない。
人一倍の努力を強いられ、何かあれば責任を問われ、給料もそれほど高くない。

それでもトップからねぎらわれたり、喜色満面に成果を報告されたときは、
心身の疲れが嘘のように溶けて流れ去る。組織の中心で自律的に活躍し、
多くの人たちに必要とされる実感は、リーダーにならなければわからない。

リーダーとして真価が問われるのは、どん底の逆境に追い詰められたとき。
四面楚歌の誰にも頼れない状況の中で、信念だけを杖として這い上がれるか。
周囲に認められない淋しさを、克服してこそ本物に近づける。堪えられるか。

常に自分自身を謙虚に問い直しながら、正しいと思うことをやり続ければ、
これからのリーダーに道は開かれる。長いスパンで人生を捉え、付和雷同しない。
呉越同舟を厭わずに、臥薪嘗胆を恐れずに、目的へ向かって突き進めるか。

自分の熱意が誰にも伝わらず、それでも前へ進まねばならないとき、
リーダーは強く鍛えられ、多くの困難に襲われても、逃げ出さずに闘える。
一条の光が遠くに見えれば、あきらめずにチャレンジする。それができるか。

自分だけが正しいと信じ、制止を振り切り、猪突猛進するのは未熟なリーダー。
自分の言葉が相手に届かなければ、届くようにするのが一流のリーダーの仕事。

原因を徹底的に考え抜き、創意工夫を重ねて言葉を選び直し、伝わるルートを探す。
さまざまな角度から検証し、うまくいくまで繰り返しアプローチする。

順風満帆に階段を昇ってきたリーダーは、獅子身中の虫を飼いかねない。
転んだり滑ったり失敗の経験がないから、心に傷を受けた人の痛みを想像できない。
軽い気持ちで胸をえぐる言葉を吐き、恨むようなまなざしに気づかない。

孤独に堪えるリーダーは人情の機微に触れ、心のやさしさと温かさを敏感に察する。
弱い立場の悲しさを痛切に知っているから、一つひとつの言葉をていねいに扱う。
周囲から打ち棄てられた経験を踏まえ、人間関係の大切さを充分にわきまえる。

一人ひとりの個性を尊重し、自分が活かされていることを素直に喜ぶ。
誰に対しても自分を押しつけず、近寄る人を拒まないから、人が集まる。

どれだけ孤独でも、心の奥底で人を好きになり、信頼するのが、リーダーの歩き方。

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