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2012年1月28日 (土)

最後の砦

名刺に肩書が刷られると、他の人がやった仕事の責任を、最終的に背負わされる。
指示命令権を与えられ、裁量のキャパシティも広がるけれど、影響力も強くなる。

いつまでも一匹狼を気取り、リーダーという立場をわきまえないと、
たくさんの人たちに迷惑をかけるだけでなく、自分の可能性も閉ざす。

実績を買われ課長のポストに抜擢されたのに、相変わらず得意先を回っている。
断トツの売上を持ち帰り、周囲に力の差を見せつけ、平気で会議をスッポカす。
課長の肩書はトップセールスの勲章と、信じて疑わないから言動を改めない。

メンバーと同じ土俵で勝ったところで、リーダーとしては認められない。
自分の実績を伸ばすより、メンバーにノウハウを教え、アベレージを引き上げる。

ふだんはサポートに徹し、同行したら必ず相手を説得する。
そのくらいの力仕事ができなければ、リーダーの職務はまっとうできない。
メンバーが助けを求めたときに、いかなる理由があろうとも応えているか。

課長になったら課長として、部長になったら部長として、組織の中での役割を演じ、
舞台中央でスポットライトを浴びたい気持ちを抑え、
裏方で仕事をプロデュースできるか。どれだけ多くの人を育てられたか。

誰を相手にしたときでも、基本的スタンスを変えず、本気で向き合う。
私利私欲では動かず、組織の繁栄を願って、働けたら本物になる。

人の心は弱く、誠心誠意は相手になかなか伝わらない。
寝食を忘れて育てたメンバーから辞表を叩きつけられたり、
心血を注いだ企画書を潰されたり、チームで導いた成果を横取りされたり、
身体の奥底から力が抜け、立ち上がる気力を奪われるのも、一度や二度じゃない。

何があっても自分を成長させる糧と、大きく受けとめて財産にできるか。
メンバーが辞めた日夜など、心の隙間を風が吹き抜け、いくら飲んでも酔えない。
あれだけホンネをぶつけたのに、防波堤になったのに、無力感に支配される。

厳しいことを言うようだけれど、それも一つの結果にしか過ぎない。
たとえリーダーとしての言動が完璧でも、他人の人生までは背負えない。
尽くして、尽くして、尽くし抜いて、それでも別の道を選ばれる。

リーダーはメンバーに片思いをして、切ない気持ちに堪えるのが仕事。
自分より優れたリーダーと出会ったら、メンバーは違う場面を迎えたかもしれない。
飛躍的に業績を伸ばしたかもしれない。しかし現実に出会ったリーダーは自分。

事実を素直に認め、心に刻まれた痛みは、次のステップに活かす。
辞めた人が去っても、待っている人がいる。
彼ら彼女らのために100%の元気を振り絞り、すべてのエネルギーを注ぎ込む。

一人だけでは越えられない壁も、彼ら彼女となら打ち破っていける。

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