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2011年12月15日 (木)

ナレッジ・マネジメント

ナレッジ・マネジメントは、ハンガリーの社会科学者であるM・ポラニーが、
19世紀の末に、知識には暗黙知と形式知が存在すると唱え、
日本の野中郁次郎らが知識創造のスパイラルへと発展させた。

暗黙知とは個人に湧き起こる感情や、身体で覚えた経験や勘など、
本人にも説明できない部分を含んでいて、他人に伝えるのが難しい知識。

形式知とは、言語を代表とする伝達可能な知識。
図式やグラフなども含め、論理的に内容を把握できる。
仕事の進め方をマニュアルにまとめれば、未熟な人でも一定の成果をあげられる。

ナレッジ・マネジメントの基本は、暗黙知を形式知へ転換するプロセス。
最初は同じ経験を共有することで、知識や技能を追体験させる。
暗黙知を次の暗黙知へ受け渡すのを、共同化と呼んでいる。
暗黙知が複数に認知されることで、形式知への転換の準備が整う。

経験を共有する段階で、知識は文章にまとめられる。
これが表出化という作業であり、暗黙知は形式知へ移っていく。

一つひとつの形式知を繋ぎ合わせ、知識の体系を築くのが、
連結化と呼ばれるプロセス。形式知はさらに高度な形式知へ練られていく。

こうしたサイクルで共有化された形式知は、途中で暗黙知の要素を削ぎ落としたり、
状況の変化に対応できなかったり、さまざまな問題を提示する。

それを真正面から受けとめて、個々人が深化させるのが内面化である。
形式知は再び暗黙知へと転換され、新たな段階での知的創造のサイクルへ進む。

「知識は現場と密接し、粘着質ですぐに変容する」と述べたのは、
アメリカのL・プルサック。知識を固定化せずプロセスと捉える発想。

個々の知識や経験を共有化する段階で、オリジナリティを維持しながら、
普遍的な概念に転換するのは簡単にできない。性急に過ぎたら、本質が見失われる。

組織の成員がそれぞれの役割を自覚し、共に成長しようと強く望み、
組織もそれに応えなければ、知識は実際に使える武器になり得ない。
相互に繁栄を目指すパートナーとして尊重し、知識の統合の恩恵をもたらせるか。

暗黙知から形式知への変換を軽く扱うと、ビジネスから人の心情が抜け落ちる。
同じことをやっているはずなのに、お客さまに納得してもらえない。
定量化で全体を切り分けられるほど現場は単純ではない。

ビジネスを効率よく推し進めるには形式知は必要不可欠だが、
新しいものを生み出すエネルギーは暗黙知の中に潜んでいる。
それぞれの特長をきちんと認め、個人と組織を融合させなければ、
ナレッジ・マネジメントは絵に描いた餅になる。

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