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2011年9月 4日 (日)

人間関係の機微

オーストラリアの心理学者であるG・E・メーヨーは、
アメリカのウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で、
ハーバード大学の同僚であるF・J・レスリスバーガーらと、
職場内のインフォーマルな人間関係が、
生産効率に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。

これが広く知られるホーソン実験であり、
メンバーのモチベーションを刺激することが、リーダーの役割として重要視される。

メンバーの立場になって、積極的にコミュニケーションを働きかければ、
メンバー一人ひとりは当事者意識を目覚めて、真正面から仕事に取り組む。

人は望ましくない情報にウエイトを置いた印象を形づくり、
意思決定でも利益より損失に対して敏感になるとされている。
これが心理学で「ネガティビティ・バイアス」と呼ばれる心の動き。

リーダーが正論を主張するほど、メンバーは現場で逆の態度をとる。
組織内でメンバーを相手に議論で勝っても、自己満足で終わってしまう。

どのようにリーダーシップを発揮するのか、リーダーなら誰でも考える。
R・リッカートは独善的専制型、恩情的専制型、相談型、参加型の
4つのタイプに切り分け、この順序でしだいに生産性が高まると指摘した。

R・ブレークとJ・ムートンは、仕事と人間への関心度をマトリックスで表し、
リーダーシップを5つに類型化。これはマネジリアル・グリッド理論と呼ばれる。
九州大学の教授であった三隅二不二が提唱したPM理論も、同じ発想の流れ。

リーダーの志向は状況に応じて変化し、
統制が容易なときや逆に困難なときは仕事が重視され、
その中間のときは人間関係に重きが置かれるとしたのが、
F・フィドラーによるコンティンジェンシー理論。

唐の詩人である曹松が『己亥歳』で詠んだように、
「一将功成りて万骨枯る」のも昔から変わらない一面の真実。

アメリカのA・トヴァスキーとD・カーネマンは、
人間は過去の経験や思考をベースに、
認知処理の道具箱であるヒューリスティックを利用すると考えた。
自分の態度や行動が一般的なもので、他人も同じように行うと思い込む。

心理学では、これを合意性バイアスと呼んでいる。
自分にとって都合の良い推論に陥りやすいセルフ・サービングバイアスと共に、
自分を中心にして他人を推し量る心の働きである。
最前線で頑張ってきたリーダーほど、こうした心理的傾向が強くなる。

お互いに人と人、それをどれだけわきまえられるか。

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