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2011年6月 2日 (木)

エロティシズムを読むヒント01

性欲は、食欲や睡眠欲と並ぶ
人間の基本的欲求ですが、
生殖以外の目的で性行為を営めるのは、
地球上のあらゆる生物の中で、
ただ人間だけといわれています。
実際の性行為に及ばなくとも、
イメージをふくらませることで、
エロティックな気分に浸れます。

個人の領域に置かれているはずのエロティシズムが、
古来から大きなテーマに成り得ていたのは、
人間が生きる強いモチベーションであり、
最も親和的なコミュニケーションだからです。
社会秩序をコントロールするには、
制度化する必要があったのです。

『聖書』の中でも、
近親相姦や同性愛が禁じられていますが、
それはモラルというよりも、
種の存続を実現するために
子孫を産み増やさなければ、
人類の歴史が途絶えてしまうからです。
タブーとされていることは、
逸脱した現実が存在したという証明です。

知識と経験が蓄積されて、
人間の意識が広がりを持つに連れて、
性のタブーもさまざまに演出されます。
個人を共同体の支配下に治めるためには、
性的なイメージを抑圧することが
効果的だったからでしょう。
権力者は性意識を規範の内側に閉ざしました。

個人の内的エネルギーの発露は、
文学や芸術として表現され、
人々の意識の中の性に対するタブーも、
しだいに緩やかになっていきます。
共同体と個人の確執は、
法廷の場で争われ、
長い時間をかけながら、
性に対するイメージは自由になっていったのです。

日本でも、伊藤整が翻訳した『チャタレー夫人の恋人』、
渋澤龍彦が翻訳した『悪徳の栄え』を巡り、
エロティシズムについての論議が尽くされました。
開放されるに連れて魅力が薄れていくことも、
エロティシズムの謎が深いことを示しています。

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