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2011年4月 5日 (火)

経済小説を読むポイント01

経済小説というジャンルは、
比較的新しい捉え方で、
1950年代の後半に、
城山三郎が『輸出』を発表してからです。
直木賞を受賞した『総会屋錦城』や、
流行語にもなった『毎日が日曜日』など、
城山作品は、常にこのジャンルのパイオニアです。

高度経済成長を背景に、
会社という組織を舞台にして、
個人が活躍する状況が整い、
経済小説が確立される土壌が耕されました。
天下国家を論じるのではなく、
日々の仕事や生活の延長線上に、
人間の真実を描くようになったのです。
親近感の湧くテーマです。

梶山季之の『黒の試走車』を初めとして、
清水一行、咲村観、広瀬仁紀、高杉良など、
このジャンルの作品は、硬軟とり混ぜ発表されています。
柳田邦男や内橋克人らのルポルタージュと相まって、
サラリーマン像が形づくられてきました。

海外でも、
『最後の診断』や『ホテル』で知られるA・ヘイリーなど、
ビジネスの現場を舞台にした作品は少なくありません。
あらゆる産業分野で会社組織が設立され、
そこで働く人々が増え続けているのですから、
当然といえば当然のことでしょう。

経済小説は臨場感があるだけに、
事実と小説を混同しがちになります。
実在の企業や人物をモデルにして、
イニシャルなどで読者に想像させるような手法も、
このジャンルには少なくないのですが、
あくまでフィクションとわきまえて読みましょう。

私たちにとって経済小説は、
シュミレーション・ゲームでもあります。
自分がその立場に置かれたとき、
どう考え行動するのか、
さまざまな可能性が提示されます。
絵空事と読み飛ばさず、
真剣に仮説を組み立てることで、
ビジネス能力が養われていくのです。

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