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2011年4月29日 (金)

行間の余韻を味わおう01

俳句や和歌の奥行きが深いのは、
言葉で表現されない余白に、
さまざまな意味を感じさせ、
大きな世界を演出するからです。
松尾芭蕉の山寺立石寺で詠んだ俳句などは、
情景として映るのは一面に響く蝉時雨です。
その鳴き声が大きいほど静寂が伝わります。

こうした表現形式は、
日本人には好まれています。
山寺の孤立した静けさを表すのに、
対照的な蝉時雨の響きを強く描写して、
他に何もないことを暗示しています。
敬語などにも見られるように、
直接的な表現を避けるのが
日本人の美学です。

国際的なコミュニケーションの問題としては、
いろいろな課題が残されているでしょうが、
文化として捉えたときには、
大切に守りたい日本人の感性です。
日常の動作の中に、
ふとしたことで宇宙を発見するのは、
華道や茶道にも通じる意識なのです。

短詩型の作品だけでなく、
普通の文章を読むときでも、
行間に秘められた思いを、
どれだけ察することができるかで、
読む深さは確実に異なります。
相手を激しく批判するときさえ、
シロクロつけずに悟らせるのが、
日本人の書く文章の典型です。

年長者からの手紙には、
文面の裏側まで配慮して、
真意を読みとる必要があります。
成功を祝う言葉の陰に、
自重を促す戒めが隠されていたり、
厳しい叱責の奥には、
大きな期待が宿っていたりします。
察しが悪い人には、
こうした表現は伝わりません。

実用的な目的で本を読むだけでなく、
ぼんやりとページを開いてみましょう。
菜の花の咲き乱れる草原で、
午睡を楽しむような無為の時間を、
日々の生活の中に採り入れましょう。
余韻を味わえるのは、
気持ちの余裕があるからです。

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