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2008年1月13日 (日)

潔さ

 山形と福島の県境に連なる吾妻連峰で遭難し、12日間も行方がわからなかった埼玉県の会社員が自力で下山。登山歴25年のベテランで私と同い歳、非常用の食糧は途中で尽き果て、雪と沢の水と塩を口にしながら、焦らず急がず危地を潜り抜けたのは流石。
http://www.asahi.com/national/update/0111/TKY200801110234.html

 印象的だったのは、医師に付き添われた会見で、原因は自分の甘さにあり、たくさんの人に迷惑を掛けてまで山に登ることはないから、これから冬山だけでなく夏山も登らないと、キッパリと断言してたこと。この種の会見では、ほとんどが英雄を演じてしまう。

 自分に厳しく恥を知ってる。人として信頼できる。吐き捨てるような表情は、自責の念と伝わってくる。確かに判断の誤りもあったのだろうが、急変する自然の猛威の中で最善の策を選び、絶体絶命の窮地を脱したのは、常人には及ばない知恵と経験と体力の賜物。

 こうした人こそ山と縁を切らず、自然の大切さと恐ろしさを後進へ伝え、指導者として活躍してほしい。命と真正面から向かい合った体験は、強い説得力を持つばかりでなく、自らの行動を省みる謙虚さが、多くの人の心に戒めを刻むに違いない。

 人は誰でも自惚れるし、ときとして判断を誤る。その結果、重大な事態を招き、剣が峰に立たされる。でも、大事なのは、それからの言動。最後まであきらめず、自分を強く信じて生還し、それでいて自らを問い直せる人が、今の世の中にどれだけいるか。

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